吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publicationsのブログ

吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publications(ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ)のブログです。

「違法コピー」はなくならない、が・・・(メルマガバックナンバー)



 

こんにちは!

Golden Hearts Publicationsの梅本です。

今日は2024年2月22日発行のメルマガ「「違法コピー」はなくならない、が・・・」のバックナンバーです。

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小学校のときに交通安全教室みたいのがあっても赤信号を無視する人は多いですし、同じように小学校のときに廊下を走るな、と教わったのに会社の廊下を走る人はいます。

これらのことですらなくならない世の中なので、楽譜の違法コピーを含めた著作権法違反についても、それらを違法であるとか、リスクがあると知っていたとしても、なくならないんじゃないかなというのが最近の僕の考えです。


ただ、出版社や小売店の方々は、それを減らそうという取り組みは出来るはずです。

呼びかけだけではなくて、構造的に、違法コピーにならないような、しなくても良いような仕組みを考えていきたいですね。

何が違法になりうるかというのは著作権に関するページを作っていますので、下記リンク先をチェックしてみてくださいね。

吹奏楽部の活動に関係が深い音楽著作権とGolden Hearts Publicationsの取り組み

 

作品の編曲、改変およびカットについて

 

スコアの拡大コピーは違法?「でも出版社がA4サイズしか販売していないし、吹奏楽だとA4で指揮するのは難しい」そこでJASRACさんに確認してみました

 

今日は「違法コピー」とからめて、あらためてGolden Hearts Publicationsのこだわりや取り組みをご紹介します。(上記リンク内にもあります)


基本的には、学校内でのコピーであっても、部活動の場合はJASRACの見解としては「複製の手続きをしないでコピーしてはいけませんよ」ということになっています。

詳しくは最初のリンクをご覧ください。

(なお、最終的に違法かどうかの判断をするのは裁判所です)


複製手続きなしに楽譜のコピーをした場合ですが、著作権者は、著作権侵害者に対し、損害賠償請求、不当利得返還請求などをすることができます。話合いで解決に至らない場合は、裁判ですね。

悪質な侵害に対しては、民事上の責任だけでなく、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金など刑事上の罰則が定められています。

怖いですね。リスキーです。


楽譜のコピーをしなければいけない状況はいくつか考えられます。

1. 購買した楽譜を「原譜」と称し保管するために意図的にスコアもパート譜もすべてコピーする

2. 演奏人数に対してパート譜が不足している

3. スコアが小さくて指揮者が読めないので拡大コピーをする

4. 外部指導者やOB、または録音・録画業者から「スコアのコピーを提出して欲しい」と頼まれた


1は複製手続きをしていなければアウトです。
吹奏楽の現場などでは「当たり前の文化」として存在していると思いますが、無断コピーはアウトです。

ただしその作品の財産権を管理している団体(日本の作品であればだいたいJASRAC)に複製の手続きをすれば問題ありません。

とはいえ2-3のような状況もあります。

Golden Hearts Publicationsの場合は、パート譜の不足に対応できるように、吹奏楽の楽譜は「パートごと」に追加の楽譜を購入できるようにしています。

PDF対応している楽曲も多いので、不足しているパートだけPDFでサクッとご購入いただけます。

またスコアについても、「スコア+パート譜セット」のスコアは大判スコアです。
これなら拡大コピーする必要がないですね。


4については、A4サイズの安いスコアを別途ご用意しています。

指導者が指揮者以外におられる場合や、業者に提出する必要がある場合、このA4スコアをご購入いただければ大丈夫、ということになります。

これもPDF対応している楽曲も多いので、スコアのみのPDFをご購入いただいても大丈夫です。


出版社によっては「パート譜が不足している場合はコピーしていいよ」と最初からうたっている出版社もありますからケース・バイ・ケースなのですが、今まで無申請のコピーや楽譜の改変をして、民事請求をされていないとしたら、著作者から「見て見ぬふり」をしてもらっていると思っていいでしょう。

特に海外の出版社の作品については、「バレへんやろ」でやってきたと思うのですが、最近ではYou Tubeで無許諾カットがサクッとバレるので、海外の出版社や作曲家にも、日本と同じように敬意を払っていただきたいなと思います。


海外の楽曲のコピーについては不明な点が多いと思いますが、それぞれの国にJASRACのような音楽著作権管理団体があります。JASRACはそういった団体と相互に契約をしており、各国での利用状況を報告し合う義務があるのだそうです。

ですので音楽著作権について不明な点があれば、海外の楽曲であっても一度JASRACにお問い合わせをしてみてください。

ただしJASRACが預かっているのは著作権の中の「財産権」だけですので、編曲許諾などはJASRACの管轄外です。編曲やカットについては出版社に問い合わせてください。

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著作権についての記事などをWind Band Pressなどを通じて発信したときに、「余計なことを言いやがって」というような反応をいただくときがありました。

そういう人を見ると「これは言っても無理だなあ」という印象を受けます。


各出版社が具体的にどのような取り組みをしているのか細かくは知りませんが、「赤信号を無視すると事故るかもよ」というのと同じで、著作権について知っておいて損をすることはないと思います。

著作者だけではなく、自分やバンドの仲間を守るためにもぜひ興味を持って頂ければと思います。


景気が悪いとお金を出しづらくなるので「必要な人数分スコアを買う余裕もないしJASRACに払う金もないから無断コピーでいいか」という感じになるだろうなとは思います。

そういう意味で難しい問題ですが、楽譜(著作物)に真っ当なお金を払うことは楽器にお金をかけるのと同じことです。

そのように思ってもらえるような世の中になるといいなと思います。