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こんにちは!
Golden Hearts Publicationsの梅本です。
今日は「やっぱり吹奏楽のフルスコアは大判サイズにこだわりたい!」というお話です。
なぜか、というお話をしていきましょう。
久しくビジネス関係の勉強をサボっておりました。まあ一人でやっているのでやりながら学ぶことも多く、ビジネス書を読むのにも疲れてしまっていたので、それでいいかなと思っていたのですが、どうもそれではよくなさそうという状況になりまして、最近いろいろと読んでいる次第です。
新しい発見などは特にないのですが、マーケティングの基本についておさらいをするような本があったので、あらためてGolden Hearts Publicationsという出版事業について色々な分析をしてみました。
「差別化」というキーワードはおそらく色々な会社や人の間で「他社より抜きん出る決定的な強み」として語られると思うのですが、まずは同じ土俵に乗らないと、差別化できないという話で、例えばハンバーガーと自動車、それぞれの会社が差別化をしていてもハンバーガーと自動車はそもそも競合しないので「このハンバーガーの独自性をウリにしてあの自動車より売るぞ」というような話にはならないですよね。
楽譜を売る場合は、まず「楽譜」というカテゴリに自社ブランドを乗せる必要があるわけです。
Golden Hearts Publicationsの場合はこの最初の一歩でつまづいているのかなという印象があります。
カテゴリに乗せる、同じ土俵に乗るというのは「認知される」「想起される」ということです。
例えば「吹奏楽コンクールの自由曲の楽譜といえば・・・」というと皆さん思い浮かべる会社がだいたい同じかなという気がします。
「楽譜」のカテゴリの中にも色々なサブカテゴリがあるわけですが、まずは「楽譜」として「他と同じ仕様」であることが必須になってきます。(もしかしたら作品のクオリティもここに入るかもしれません)
そこで色々と考えて、いま実行施策を練っているところではあるのですが、考えている間に悩んだうちのひとつが「価格帯」と「スコアのサイズ」の関係です。
Golden Hearts Publicationsの吹奏楽のスコアは、A4サイズのスコアも単品で販売していますが、「スコア+パート譜セット」のスコアは大判にしています。
大判にすると印刷費用(原価)も高くなりますが、事前のヒアリング調査で「A4のスコアを拡大して使用している」という指揮者(指導者、顧問、なんでもいいですが指揮台に立つ人)が割と多い印象があったため、大判スコアでの提供を行っています。
そして私自信が知的財産管理技能士の勉強をする中で、著作権についてそれまでよりも知る機会があり、Golden Hearts Publicationsというブランドを通してやる限りにおいては、「お客様が違法コピーなど著作権法に抵触しないで済むような商品を提供する」という方針としていることも関係しています。
▼Golden Hearts Publicationsの方針についてはこちらをご一読ください
goldenheartspublications.com
拡大コピーも複製に含まれますので、例えばJASRACに信託している作品であれば、スコアの拡大コピーが著作権法に抵触するおそれがあります。最終的な判断は裁判所ですが。
いまのところどの吹奏楽部も吹奏楽団も吊るし上げられていないと思いますが(少なくとも大きなニュースにはなっていない)、JASRACも吹奏楽の現場で何が起きているかはだいたい把握しているようですので、いつ誰がどうなってもおかしくない状況ではあります。このことは覚えておいてほしいです。JASRACはだいたいのことは把握しているらしいということ。
例えば吹奏楽部の顧問の先生であるとか、団体の代表であるとか、個人が罰せられる(または民事請求される)だけで済むならまだマシなのですが、「上の人の指示で」スコアをコピーしたことが原因で何か法的な問題が発生した場合、その影響が団体全体に及ぶ場合、生徒や楽団員の楽しみが一瞬で奪われてしまう可能性も高いと考えたほうが良いでしょう。
ですからGolden Hearts Publicationsとしえは「お客様が違法コピーなど著作権法に抵触しないで済むような商品を提供する」という方針を取りたいわけです。
出版社がA4サイズのスコアも大判スコアも両方用意していれば、わざわざ危険をおかしてコピーする必要もないし、製本する手間も必要ないですよね。
またパート譜の個別販売を行っていれば、これも違法にパート譜をコピーする必要はありません。
逆に言えば、そういう提供のされ方でない限り、「コピーする以外の方法がないじゃん」ということになります。(JASRAC管理楽曲であればJASRACに「複製」の申請をして著作権料を払えば合法的にコピーできますが、実際にそれをやる団体はさほど多くないかもしれません)
そういう意味で、出版社が「どういう形で作品を提供するか」というのはかなりこの先重要な要素になってくるのではないかなと思っています。個人的には、訴訟を起こすハードルが下がっていけば、いつかどこかの団体や部活動が見せしめ的に訴えられるような気がしていますので、そうなる前に避けたいなというところです。
出版社はお客様とトラブルを起こしたくないので民事請求も何もしないと思いますが、著作者はどう思っているのか?入るはずの印税が入らないことに対してどう考えるのか?というところでもありますし、作品を信託されているJASRACがどう動くのか、というところにも関係してきます。
そう考えた時に、やはり吹奏楽のフルスコアについては、実際の現場で「A4だと読めないから拡大コピーしている」という人がいる限り、大判にこだわっていきたいなあと思っています。
提供の方法を「A4スコア+パート譜」にすれば価格もだいぶ抑えられるので、価格的にも出版楽譜の仕様としても「同じ土俵に乗る」ことは出来るのですが、お客様に危険物を提供するような形になってしまうので、個人的には嫌だなあというところです。
「スコアはA4サイズにして安価に提供する」「楽器店やブース出展での販売とお客様の持ち帰りのことを考慮してA4サイズで提供する」などサイズについては各社考えがあってのことだと思いますが、ほとんどの出版社がもうおそらくそんなに小売店には頼っていないでしょう。自社のオンラインストアがあるわけですからね。
そう考えると、アンサンブルやソロ楽譜などについてはA4サイズでも問題なさそうだなと思うのですが、吹奏楽のスコアについてはA4サイズに加えて「大判」のスコアも選べるようにする、というようなやり方が広まっていくといいなあと思います。
若い方だと「A4でも読めるよ」という方が多いと思うのですが、指揮台に立つ方はそれなりの年齢になっている方も多いので、やはり老眼が始まると、かなりの小編成でもない限り、吹奏楽は段が多いのでA4だとキツイんじゃないかと思います。(ちなみに僕も40歳あたりから老眼が始まっています)
これについては「どうせコピーしても捕まらないんだし勝手にコピーさせろよ、安く売れよ」という方もいらっしゃると思うのですが、Golden Hearts Publicationsとしてはそういう方針で進めることはありません、ということです。
これだと同じ土俵に乗れないかもしれないのですが、やっぱりどうしても譲れない部分ではあります。
「A4スコア+パート譜」の売り方にして今より安く提供して(ほかの出版社と同じ仕様にして)、別途「大判スコア」も単品買えるようにしておく(今でも大判スコアは単品でも買えますが)というやり方も考えたのですが、それをやった場合に見える風景がどうしても「拡大コピーしましょう」なので、別のルートで同じ土俵にのる方法を考えないといけないなあというところです。
そんなこんなでいろんなことを考えるのですが、巡り巡ってもともとの方針に落ち着くことが多いです。まだまだ先は長い・・・
今日はこのあたりで。お読みいただきありがとうございました!