こんにちは!
Golden Hearts Publicationsの梅本です。
契約している作家さんとGolden Hearts Publicationsはこれからどんな作品に力を入れるのかな~みたいな、どんな曲を探してるんですか~、みたいなやり取りをしながら昔の話とリンクしたのでちょっと昔話してみますね。
皆さんはろう学校って知っていますか。ざっくりとですが聴覚障害のある子どもたちのための学校です。
大学時代、依頼演奏ということで年に1-2回くらいでしょうか、ろう学校に訪問演奏に行っていました。当時は大所帯のバンドだったので、依頼演奏の際には授業などの都合で依頼演奏に行けるメンバーを集めたり授業関係なくパートリーダーが誰を出すかを決めたりして依頼演奏のメンバーが組まれていたような記憶があります。
僕は確か1回だけ、そのろう学校の訪問演奏に参加することが出来ました。(余談ですがグレースボールという年配の方が集まるゲートボールのような大会の依頼演奏には何回も行きました)
ろう学校の子どもたちは、基本的には聴覚障害を持った子どもたちなので、おそらくあまり耳が聴こえないんだと思います(状態は人それぞれだと思うので詳細はわからないのですが)。
ですが、毎年楽しみにお待ちいただいている訪問演奏だということを先生からはお伺いしていました。
音楽に合わせて色が出る機械みたいなのがあって、それを見ながら子どもたちは演奏を楽しむわけですが、聴覚障害の子どもたちに演奏を聴かせるとはどういうことか。
って考えると、小手先のテクニックとか技術的などうこうとか、そういうのは後から付いてくる話で、まず何より身体で音を体感出来ること、その身体で体感した音楽が彼らの心に届くこと。
それが何より大事なことなんだと思います。演奏も、雑な演奏をするわけには行きません。いつも以上に気を使います。
今思えば、もっと色々なことが出来たかもしれません。
例えば手話を交えて司会をするとか、演奏の情景を絵画で表現してみるとか、やれることはまだまだあったと思います。
ですがその僕が行ったときはおそらく演奏と、その学校にある色と音が連動する機械、それだけだったと思います。
それでも子どもたちは本当に楽しんでくれて、今思い返すと、僕の今の音楽の聴き方の原点がそこにあるように思います。
耳でも聴きますが、例えば商品セレクトや楽曲の取り扱いを考える段階で、それはあくまでも一次審査的なもので、最終的には心に響くかどうかです。別に感動するとかじゃなくて「あっ、これは好きだな」って思えるかどうか。
そういう聴き方をしています。
セレクトショップのWBP Plus!の場合は、耳で聴いて、テクニカルな部分でまずクリア出来ているか、その次に僕の心に音楽が響くかどうかです。
なので演奏は上手なんだけど取り扱わないCDなんかもあります。
Golden Hearts Publicationsの場合は音源は最初はMIDIでもらうことが多いので、MIDIの場合は耳で聴くのはだいたいどんな感じか掴むだけですが、それでもそれが実演になったときにどんな音になるかを想像して、それが作品として僕の心に響くかどうか、で決めています。
好きか、好きじゃないか。基本的にはそれだけです。
なので、「売れそうな曲」「流行っている曲調に似ている曲」とかそういったことはどうでもよくて、いわゆる現代音楽的な作品からポップスアレンジまで、スタイル的なものに統一性はないです。
流行とかコンクールとかは関係なく、僕が好きだ、と思った作品。お客様に好きになってもらいたい作品。「こんな世界もあるんだな」って聴く人の興味が広がるような作品。または「これを演奏したら皆ハッピーになるんじゃないかな」というような作品。
そういった作品を出版するようにしています。
なぜそういう聴き方、曲の選び方をするのかな、って考えた時に、ろう学校の子どもたちの楽しそうな姿、あの訪問演奏の経験、それが根っ子にあるのかな、という風に思いました。
音楽は耳で聴くだけじゃない。耳さえ騙せれば良いってわけじゃない。その先に。その先にある心に届けたい。心で聴きたい。
どうか、耳だけでなく、身体で、心で、聴いてみて下さい。きっと新しい発見や喜びが皆さんを待っています。