吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publicationsのブログ

吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publications(ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ)のブログです。

【動画あり】祝「第7回国際行進曲作曲コンクール」1位受賞!正門研一さん特集!



 

こんにちは!

Golden Hearts Publicationsの梅本です。

昨日Wind Band Pressでもインタビュー記事を出したのですが、Golden Hearts Publicationsからも多くの作品を出版させていただいている作曲家の正門研一さんが、2023年6月にイタリアで行われた「第7回国際行進曲作曲コンクール」で総合1位を獲得されました!

キャー素敵ー!

▼Wind Band Pressのインタビュー記事はこちら

正門研一氏がイタリアで行われた「第7回国際行進曲作曲コンクール」で総合1位を獲得!特別インタビュー! - 吹奏楽・管楽器・打楽器・クラシック音楽のWebメディア Wind Band Press


祝!ということで今日のブログは正門研一さん特集!Golden Hearts Publicationsから出版している全楽曲をあらためてご紹介します!

正門研一さんからの楽曲解説があるものは一部を抜粋して掲載しています。

海外からの評価も高くGolden Hearts PublicationsのGlobal Store(海外向けストア)でも楽譜が売れている正門研一さんの作品、まずは聴いて、そして楽譜を買って演奏してみてください!

PDFで買える作品は商品ページに「こちらの作品はPDF販売に対応しています!」というバナーがあるので、PDFで安く早く購入したい方はそちらをクリック(タップ)してくださいね。

ではさっそく!


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吹奏楽
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前奏曲「in Just-」
https://goldenheartspublications.com/?pid=138606854

演奏時間:約4分10秒

2003年5月作曲、初演は同年11月28日、市民吹奏楽大牟田奏友会(福岡県)の「第28回定期演奏会」にて。

大牟田市アメリカ・ミシガン州のマスキーガン郡・市と姉妹都市を締結しており、交流を深めているそうです。

初演当日はマスキーガンから高校生ジャズバンドを迎えての合同演奏会、そのオープニングを飾る、そして両市の友情を表すような曲を、という依頼を同団及び「大牟田・マスキーガン友好協会」から受けました(演奏は同団単独)。

特に両市に縁のある素材を作品に用いているわけではありませんし、何かを描写したものでもありませんが、これまで交流を重ねてこられた、そして、さらに未来に向けて手を取り合って歩もうという両市の皆さんの「心意気」のようなものを映し出そうとしています。また、この作品が交流の「架け橋」になれば、との思いから、(主題ベースでほぼ)A-B-C-B-Aという「アーチ」式の構造にしています。そして、ここから、「今まさに」新しい時が始まる、という意味が作品のタイトルには込められています。

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■メモリアル・マーチ「ニケの微笑み」
https://goldenheartspublications.com/?pid=148532876

演奏時間:約6分10秒

2008年に大分県で開催された「第63回国民体育大会」と「第8回全国障害者スポーツ大会」の式典音楽として委嘱され、主に両大会の開・閉会式で選手団入退場時のメイン行進曲として、作曲者が指揮する式典音楽隊により演奏されました。作曲は2007年初頭から春にかけて。

「ニケ」とは、ギリシャ神話に登場する「勝利の女神」。フランスのルーブル美術館所蔵の彫像「サモトラケのニケ」は誰でも一度は目にしたことがあるでしょうし、アメリカの有名なスポーツ用品メーカーの社名がニケに由来することもよく知られています。

勝利の女神はどちらに微笑むでしょうか?」

スポーツの中継放送ではよく耳にするフレーズです。このフレーズとサモトラケのニケ(ご存知の通り、頭がありません。)が作品、そしてタイトルの発想のベースになっています。

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■行進曲「サリューテイション」
https://goldenheartspublications.com/?pid=149451693

約4分10秒

2004年1月、私が当時楽長を務めていた北九州市消防音楽隊の「第30回定期演奏会」を記念して作曲したコンサート・マーチです。長年にわたり尽力された方々、支援くださった方々への敬意と感謝の気持ちを込めて作曲。

作品は、特別な情景やストーリーをイメージしたものではありませんが、作曲に際し私の頭の中には常に、勇敢かつ心優しき消防隊員の姿がありました。そうした隊員たちへの尊敬の念もまたこの作品には込められています。

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■ジュ・トゥ・ヴ 
作曲:エリック・サティ 編曲:正門研一
https://goldenheartspublications.com/?pid=152334861

演奏時間:約4分00秒

このアレンジはピアノ版に基づいています。サティの音楽の持つ“粋”を尊重しながらジャズ感を随所に取り入れ、さながらショー・ミュージックのようなアレンジを目指しました、もしサティがジャズの影響を受けていたら…などと考えながら(もっとも、『ジュ・トゥ・ヴ』が作曲された時代、まだジャズという音楽スタイルは確立していなかったはずですが)。

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■コンサート・マーチ「シャイニング・ソウル 2」
https://goldenheartspublications.com/?pid=166876367

演奏時間:約3分27秒

2009年から2013年にかけて作曲した「シャイニング・ソウル」シリーズの第2作目にあたります。自発的に始めたこのシリーズの根底には、2009年に病に倒れた父(2014年没)への感謝、回復への願い、というごく個人的な感情があります(詳しくは述べませんが)。作品ごとに自分なりのテーマ(課題)を持って作曲しているのですが、この「2」で私は、二つの主題(動機)を中心としたポリフォニックな展開、かつ、「勇ましくない」行進曲を目指しました。

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■行進曲「ステップ・フォー・ステップ」
https://goldenheartspublications.com/?pid=166877258

演奏時間:約3分38秒

私は2009年から2013年にかけて「シャイニング・ソウル」という行進曲のシリーズを作曲したのですが、この「ステップ・フォー・ステップ」はその過程で生まれた作品です(2010年3月作曲)。技術的にも曲想としても「優しい」ものを…そのような想いで作曲しました。

シャイニング・ソウル」シリーズの他の作品のような「よくあるものとは少し違ったもの」とは敢えてせずに、一般的なフォーマットの中に自身の言葉を嵌め込んでみようと試みています。ですから、タイトルにも「シャイニング・ソウル」を使わず、「ステップ・フォー・ステップ」としました。ここには「足並みをそろえて」といった意味を私は持たせています。

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ブラスバンド
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■コンサート・マーチ「アライズ・マイ・ミューズ !!」
https://goldenheartspublications.com/?pid=139942051

演奏時間:約3分55秒

英国式金管合奏団「福岡フローリッシュブラス」からの委嘱により2010年12月に作曲、翌2011年1月16日、同団の「第10回記念定期演奏会」において初演されました。

この作品は、私が初めて取り組んだブリティッシュ・スタイルによるブラス作品です。特に「英国風」なものを、「英国的」なものを、と意識したわけではないのですが、例えば、ゆったりめのテンポや終盤のグランディオーソには、エルガーホルスト、ヴォーン=ウィリアムズ、ウォルトンなど私の英国音楽体験が反映されているのかもしれません。

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▼アンサンブル(室内楽
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■【サクソフォーン3重奏】
RONDO CHROMATIQUE 
https://goldenheartspublications.com/?pid=138607064

演奏時間:約4分30秒

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざもあるように、この曲はまさに三人によるディスカッション、何かの結論を導き出そう、知恵を絞り出そうと、時には呼応し合い(あるいは模倣し合い)ながら、またある時は反発し合いながら議論する様をイメージしたいただけるといいでしょう。そうした様を、タイトルにあるように半音階的に処理していることもあり、やや冷たく厳しい曲調になっていると思います。とはいえ、冒頭に「Scherzando」と示している通り決して悲観的な音楽ではありません。半音階的ですが無調ではなく、ほのかに調性感が漂っています(複調的な場面も多々見られますが…)ので、演奏される皆さんなりの結論、知恵を出すことは決して困難なことではないと信じています。また、「RONDO」というタイトルですが、こちらも、核となるモティーフを起点に活発な議論が繰り広げられる様を表そうとしたもので、作品の形式を表すものではありません。さしずめ、「会議は踊る」とでもいったところでしょうか…。

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■【ホルン4重奏】
ふぁんたじあ~福岡県民謡による
https://goldenheartspublications.com/?pid=147502629

演奏時間:約6分00秒

「福岡県に伝わる民謡を使い、初心者でも十分演奏可能な音域で」というリクエストを受け、2010年2月に作曲しました。

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■巡礼:春 ~ヴァイオリン、チェロとピアノのために
https://goldenheartspublications.com/?pid=151490472

演奏時間:約9分40秒

2015年夏、田村洋彦氏(大分大学名誉教授)から、氏が主宰するグループ『息吹』のコンサート「ふるさと大分の響き」に作品を出してみないか、と声をかけていただきました。コンサートの主旨は、「大分の民謡や大分にまつわる曲を新しいアレンジで披露する」というものでした。氏から多くの資料をお借りし、作品の核となる楽曲を探している中、特に私の目を惹いたのが『大分西国巡礼歌』という歌でした(この歌に惹かれたのは、前年に、「篠栗四国八十八箇所」として知られる福岡県篠栗町を舞台に『讃~吹奏楽のために』という作品を書いていたことも影響しているかもしれません)。現在、この歌を知る人はほとんどいないのではないかと思います。参考となる音源もなく、研究者により採譜されただけの歌をどう再生させるか…、大きな課題を自らに課すことになりました。

 間もなく春が訪れる…そんな時期に開催されるコンサートです。何か春を感じさせる素材を加えたいとも思っていました。結果、誰もが知る古謡『さくら』をもうひとつの核として用いることとなります。そして、『大分西国巡礼歌』と『さくら』に共通の音階構造(都節音階)に基づくいくつかの音素材を加えて全体を構成しました。

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■【木管四重奏】
牧歌 ~わすれなぐさの物語
https://goldenheartspublications.com/?pid=154411275

演奏時間:約4分40秒

作曲のきっかけは、2012年福岡県のとある高等学校吹奏楽部からの依頼によるものですが、「せりなさん」というひとりの女性との交流がなければ、この作品は違ったものになっていたかもしれません。

交流とはいっても、お互いのブログ(利用していたブログサービスはすでに終了しています)の読者であったというだけであり、時々メッセージのやりとりはするものの、私は彼女のお姿を拝見したこともありませんし、どこにお住まいかも知りません。ブログを通じ、彼女が幼少期から深い心の傷を負っていたことが分かったのですが、彼女が作る詩や、日々の生活を綴った投稿は、「優しく、柔らかな言葉」にあふれていました。私はそこに、彼女の「生」への強い想いを感じたものです。

この作品は、「優しく、柔らかな言葉」でありながら「強い意志」を持ったメッセージを送ってくれた、そして、ブログのタイトルを副題に使うことを快諾してくれた「せりなさん」に対する私からの個人的なメッセージでもあります。

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■【金管8重奏】
トワイライト・グロウ
https://goldenheartspublications.com/?pid=170598959

演奏時間:約4分40秒

2004年に福岡市内の高等学校吹奏楽部からの委嘱により作曲した金管八重奏曲です。委嘱時の要望に応える形で、ジャズテイストを持った、そして一般的な楽器編成とは異なった作品になっています。各楽器の音域も(トロンボーン1とテューバ1を除き)無理のない範囲に収めています。

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■【混合8重奏】
ラクリモーソ
https://goldenheartspublications.com/?pid=170833471

演奏時間:約4分45秒

2005年に『アリオーソ』というタイトルで発表した作品を、楽器編成を含め全面的に改訂したものです。この改訂に併せ、タイトルも『ラクリモーソ』と改めました。

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▼ソロ
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■【クラリネット&ピアノ】
シャコンヌ唱歌「砂山」による
https://goldenheartspublications.com/?pid=147502532

演奏時間:約6分30秒

大学の同級生であるクラリネット奏者、久多良木則子(くたらぎ のりこ)さんからの委嘱により、2019年8月に作曲。同年9月29日大分市内で初演していただきました(ピアノは久保淳子さん)。

「古い日本の歌をアレンジして演奏したい」というのが久多良木さんの最初の計画でした。彼女と打ち合わせをする中で、「同じ出身地(福岡県筑後地方)の詩人・北原白秋が好き」という話が出てきました。いくつか候補を挙げ、最終的には、私自身も好きな『砂山』(中山晋平作曲)を選びました(白秋とともに多くの歌曲を残した山田耕筰もこの『砂山』に曲を付けています。)

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■【ユーフォニアム独奏】
ノローグ(1:闇 / 2:ロンドー)
https://goldenheartspublications.com/?pid=150103445

演奏時間:
1:闇 (Darkness) 約3分00秒
2:ロンドー(Rondeau)  約4分10秒

2000年に作曲した、4つの小品からなる独奏トロンボーンのための作品を改編、それぞれ独立した作品としました。

『モノローグ1:闇』は、原曲の2曲目にあたります。

夢の中、闇に彷徨うある男の独白です。

十二音音列による作品ですが、基本となる音列には敢えて4度や5度の音程を多用しています。それらを「光」と感じていただけますと本望です。

『モノローグ2:ロンドー』は、原曲の3曲目にあたります。

夢の中、不思議な舞踏の世界に迷い込んだある男の独白です。

単純な、ルフランとクプレによる構成です。2番目のクプレ(77小節目~)にはA.オネゲル管弦楽曲夜想曲』の旋律(アルト・サクソフォーンによる)が引用されています。

2つの作品は単独でも演奏可能ですし、続けて演奏することも可能です。

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■【トロンボーン or ユーフォニアム&ピアノ】
ヴォカリーズ 1 : こもりうた
https://goldenheartspublications.com/?pid=151168178

先に「ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ」から出版された『モノローグ ~無伴奏ユーフォニアムのための』と同様、2000年に作曲した無伴奏トロンボーンのための4つの小品から、その第一曲目を改編したものです。

赤ちゃんを寝りにさそう作品というわけではなく、誰もが安らかに眠りつき、希望満ちあふれる明日が迎えられるような世界であってほしいとの想いを込めた「祈り」の曲です。

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■【オーボエ&ピアノ】
ヴォカリーズ 2 : きぼう
https://goldenheartspublications.com/?pid=151168330

先に「ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ」から出版された『モノローグ ~無伴奏ユーフォニアムのための』と同様、2000年に作曲した無伴奏トロンボーンのための4つの小品から、その終曲を改編したものです。

誰もが心おだやかに、そして前を向いていられるような世界であってほしいとの想いを込めた「祈り」の曲です。

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ソナタ・メカニカ ~独奏ユーフォニアムのための
https://goldenheartspublications.com/?pid=159153700

演奏時間:
I. Attivo (約2分40秒)
II. Meditativo (約4分35秒)
III. Ritmico (約1分50秒)

この作品では、ある一定の法則(音程関係)で音がつながれています。基本となる音素材(5音音列)は、拙作『巡礼:春 ~ヴァイオリン、チェロとピアノのために』(ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ 刊)でも使われていますが、『巡礼:春』のように他の音素材と関係づけられることはなく、この作品は基本の5音音列のみで構成されています。音の並び自体は「規則的」、「機械的」ではあるものの、リズムやダイナミクスは比較的自由で、どこか「感情的」です。ここには甘い、美しい旋律はありませんが、音列を構成する短2度や完全4度(あるいはそれらの転回音程である長7度や完全5度)という音程が全編にかすかな光を与えてくれます。

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その他、正門研一さんの作品はこちらからご確認いただけます。(イタリアのスコメーニャ出版の楽譜もあります)
https://goldenheartspublications.com/?mode=grp&gid=1987793&sort=n


正門研一さんのインタビューやコラムがWind Band Pressにいくつかあるのでぜひ読んでみてください。

▼インタビュー

「ジャポーネ、ケンイチ・マサカド!」イタリアの第6回国際行進曲作曲コンクールで第2位を受賞、正門研一氏特別インタビュー

 

「流行り廃りではなく、その時の自分の想い、その時じゃないと書けない作品を残していきたい」作曲家:正門研一さんインタビュー

 

▼コラム

「なぜスコアを買って勉強した方がいいの?」作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方

 

「スコアを読む前に&『感情を込めて』とは?」作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方(その2)

 

「スコアのしくみ:音楽を形づくる要素(1)拍子・調性」作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方(その3)

 

「スコアのしくみ:音楽を形づくる要素(2)音の配置全般」作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方(その4)

 

「音・音楽はどのように聴取される? 〜音楽理論とともに知っておきたいこと」作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方(その5)

 

「スコアのしくみ:音楽を形づくる要素(4)テンポ (1)」作曲家・指揮者:正門研一氏が語るスコアの活用と向き合い方(その6)

 


以上、本日は正門研一さん特集でした!

ではまた次回!