吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publicationsのブログ

吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publications(ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ)のブログです。

アンコンなどでも注意が必要:あらためて著作者人格権のお話



 

こんにちは!

Golden Hearts Publicationsの梅本です。


今日は著作者人格権のお話をします。

昨年、Golden Hearts Publicationsの楽譜のスコアのみをご購入されたお客様が、作曲者および当方に無許諾で、弦楽器パートを管楽器に変更して演奏したということがJASRACからの報告によって発覚しました。

これについては著作者である作曲者が、該当の方々に厳重に抗議を行い、「著作権についてよく知らなかった、今後は気をつける」という旨の謝罪を頂き、一旦手打ちとなっています。

同じ方がまた同様のことをした場合、今度は法的措置を取る可能性が非常に高いです。そのくらい緊迫したことが発生しました。


ただ、著作者によっては、初回から法的措置を取る可能性もあります。

今後、アンサンブルコンテストなどでも、地区によっては連盟から「許諾は取っているのか」という確認があるかもしれませんが、地区によってはそこまでしっかり見ていないかもしれません。

そこで今日はあらためて「著作者人格権」について知っておいていただこう、というわけです。

著作者人格権」を侵害した場合、民事請求などのほか、刑事罰の対象ともなります。刑事罰の場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金、またはその両方が科せられます(著作権法119条2項1号)。

「知らなかった」が通りませんので、自衛の意味も含めてしっかりと理解をしておきましょう。


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著作権には著作者人格権という、著作者だけが保持する誰にも譲渡できない権利があります。

この権利の中には「公表権」(自分の著作で未公表のものいつどうやって公表するか決められる権利)、「氏名表示権」(著作を公表する際に氏名を表示するかどうか、する場合は実名か変名かを決められる権利)、「同一性保持権」(自分の著作物の内容などを自分の意に反して改変されない権利)が含まれています。

作品の編曲やカットで問題になる(著作権侵害にあたる可能性がある)のが最後の「同一性保持権」の部分です。

例えば「カットされたくない作品を無断でカットされ、それが公表されてしまった」という場合、カットした側は著作者人格権を侵害している可能性があります。著作者はもちろん法的措置を取ることが可能です。

今回のGolden Hearts Publicationsの事例のように、「意図しない楽器への変更があった(弦楽器作品が管楽器作品にされてしまった)」という場合も同様です。本件については、作曲者側も「事前に相談があれば許諾していた(改変をまったく認めないわけではない)」というスタンスでしたので、事前に相談さえしていれば・・・という事案でした。


日本国内においては、各種吹奏楽コンクールや演奏会などにおける微細な改変(人数の都合で演奏するパートを変更するなど)や各種吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテストなどの演奏時間規定に伴う作品のカットについては、おおむね著作者側も許可する、または出版社に判断を委ねる場合があります。(もちろん許諾を受けられないケースもあるかと存じます)

ただ、慣例としてそうなっているからといって、法的に問題がないわけではもちろんありません。著作者はいつだって著作者人格権の侵害者に対して法的措置を取ることが出来ます。そしてそれはいつ起こるかわかりません。親告罪ですので著作者が訴えなければ警察も動きませんが、著作者が訴え出れば刑事罰が当然待っているわけです。法的にそうなっているのです。


著作者人格権についてはどの出版社であっても、また未出版作品でもあっても、ベルヌ条約の加盟国(約180ヶ国により批准されています)であればどの国の作品であっても同様です。

出版社や著作者ごとにご事情がおありかと存じますので、日本国内、国外を問わず、各作品の出版社や、海外の作品であれば出版社の日本法人などにまずはお問い合わせください。(未出版の場合は著作者本人に確認することになります)


親告罪ですのでお目こぼしも多いですが、上記を知ったうえで、正しく音楽作品を利用し、訴訟リスクを無くしたうえで音楽を楽しんで頂ければと思います。

ご理解、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。