吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publicationsのブログ

吹奏楽、室内楽の楽譜出版社Golden Hearts Publications(ゴールデン・ハーツ・パブリケーションズ)のブログです。

なんで吹奏楽のスコア&パート譜セットが他社より高いのかという話

 

 

こんにちは!

Golden Hearts Publicationsの梅本です。

今日は前々回の「なんで最初からスコアをウェブで公開したのかという話」、前回の「なんでパート譜のバラ売りを始めたのかという話」に続き「なんで吹奏楽のスコア&パート譜セットが他社より高いのかという話」というタイトルで書いてみます。「なんで」シリーズ。

Golden Hearts Publicationsの吹奏楽のスコア&パート譜セット、他の会社の販売譜に比べると高いですよね。おそらく。

別に暴利をむさぼりたいわけでもないですしこれでもどちらかというと利率はかなり低いです。卸売が出来ないくらいに低く設定しています。

それでも高くなってしまう理由はいくつかあるので順番にご説明していきますね。


■スコアが大きい

吹奏楽の販売譜はフルスコアがA4サイズで販売されていることが多いですよね。楽器店などの売り場に卸売をする場合、そのサイズじゃないと書棚に入らない、というような理由じゃないかなと思います。ですが演奏する現場では、A4サイズでは吹奏楽のような段数の多い楽譜は読めないので、指揮者や指導者用にそのA4スコアをB4やA3に拡大コピーしていますよね。これは、どの出版社もおそらく把握している事実です。現場では拡大コピーしている。そしておそらくJASRAC管理楽曲であっても複製手続き(申請)をしないで拡大コピーしていますよね。それ違法なんですよ。

そしてこれは何度も言っているかも知れませんが著作権法違反には民事上の問題だけでなくて刑事罰というのもあって、それに関しては故意かどうかは問わないのです。つまり、「違法だって知らなかったんだもん」といっても罪に問われるということです。

Golden Hearts Publicationsとしては、現場での使われ方を考慮して、お客様が「知らないうちに犯罪者になっていた」ということにならないように、あらかじめスコアサイズを大判で用意しています。

近くにA4の紙があればそれを2枚並べてみてください。それがA3サイズです。

一番コストがかかっているのがこれです。A4までは結構安く作れるのですが、版がA4よりも大きくなると、印刷所の製造費用がバババババン!と跳ね上がります。


■なんでA4サイズのセットを作らないのか

じゃあ他の出版社と同じようにA4スコアとパート譜のセットを作れば安くなるじゃないか、と言われればその通りなのですが、上述のように現場で拡大コピーされるのがわかっていて、それがおそらく違法コピーになるのがわかっていて、お客様を犯罪者には出来ないですよね。お客様を犯罪者にするなんて、楽譜を提供する側としてやってはいけないことだと考えています。意識の高い方ならA4スコアを拡大コピーするときにJASRACに手続きをされるかもしれませんが、未だに当たり前のようにコピー譜が使われている業界ですから、まだまだ発展途上国なんですよね。スコアそのものの紙質のこだわりみたいなものも関係していますが、これはまた別の機会にお話します。ペラッペラの普通紙で印刷すれば安くなるとは思いますが、それはちょっとな~、というところですね。


パート譜も見やすい色にこだわってます

パート譜もちょっとだけ高いです。これは上述の紙質の問題で、普通紙であればそりゃ安いんですけど、パート譜にも色上質紙というのを使っています。目が疲れにくいようにアイボリー色にしています。普通紙の白、上質紙の白、よりはちょこっと高いです。ですが白ってすごく目が疲れる。目が疲れると首肩腰にきますし、集中力ももたないですよね。身体にかかる負担を減らして、無駄な緊張をなくしてリラックスしながら演奏していただきたい、という気持ちが込められています。


■受注生産である

これは今後の売れ方次第なのですが、いまのところ例えばスコアのA3版とB4版をそれぞれ全作品何十部、と用意するほどの在庫資金もないので(小さな個人事業主ですからね)、受注生産でやっています。卸売できるサイズでもないし利率も低くて卸せないし、という。受注生産でやっている分高い、という感じですね。同じ楽譜を一気にたくさん(100冊くらい?)同じ印刷所で印刷すれば、かなり安くしてくれるとは思いますが、年間に数十冊とか100冊売れる吹奏楽の楽譜ってほぼないですからね。大ヒット作品ですよねそれは。なので、形態としては販売楽譜(出版楽譜)という形態なのですが、製造方法としてはレンタル楽譜に近いと思って頂ければよいかと思います。レンタル楽譜も基本的な考え方としては「どんだけ売れるかわからない」というところが最初にあると思うんですよね。何年も毎年バカ売れしていてレンタル楽譜、というのはちょっと理由がわかりませんが、おそらくレンタル楽譜というのは売れ行きが読めないから受注生産で作っていきながら少数で回していく、という考えなのかなと思います。(どこの誰がいつ演奏するかという情報はレンタルじゃなくても取れますからね)それと同じだと思ってください。


以上が基本的なGolden Hearts Publicationsの吹奏楽の楽譜が他社さんの同じくらいの編成やページ数の楽譜よりも高い理由です。

将来的には、例えば同じ曲が月に10冊売れましたよ、20冊売れましたよ、という状況になれば先に一気に印刷しておいて、原価を下げて販売価格も下げる、ということも出来ると思うので、そうですね、買ってください(笑)。

 

その他色々なこだわりについてはストア内のページでも書いていますのでよろしければご一読ください。

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